合併症は糖尿病に隠された「真」の病気

糖尿病とは読んで字のごとく「甘いものを食べ過ぎて尿に糖が出る病気」という認識の人が多いのであれば、病名を変えるくらいのことをしてでも糖尿病を正しく理解させるべき、と思う病気です。

多くの症状の中のひとつが「尿に糖が出る」だけのことで、糖尿病に隠された本当の姿を知れば、恐ろしい病気だということに気付かされます。

糖尿病を英語に対応させると diabetes または diabetes mellitus です。mellitus はラテン語で「はち蜜のように甘い」という意味で、diabetes の人の尿は甘いことがわかってから mellitus が付けられるようになりました。

後に、尿中の甘味成分がブドウ糖(グルコース)であることが発見され、 糖尿病と呼ばれるようになります。名前は記号でもありますから、名は体を表わさない場合があっても仕方が無いです。

血糖を測定することができなかった時代には、尿に糖が出る病気と理解されていたのでしょうが、現在では、高血糖状態が長期間持続することによって引き起こされる合併症が、糖尿病に隠された本当の病気であると理解されています。

血糖コントロールで合併症予防

糖尿病に特徴的な合併症は、細い血管の障害による病気です。

  • 神経障害
  • 網膜症
  • 腎症

教育入院中は、これらの病気を予防するために血糖コントロールの重要性を繰り返し教えられました。

入院病棟が眼科と一緒で、隣の人が網膜症でほぼ失明状態でした。現実を目の前にすると、毎日の食事や運動の小さい積み重ねが大切ですね、と思いました。

太い血管の障害による合併症も侮れません。動脈硬化は、血管の老化現象とも言えるもので、血管の壁が硬く弾力性が無くなったり、血管の壁が内腔側に厚くなって血管が詰まりやすくなります。

脳の動脈が詰まって起こるのが脳梗塞、詰まった血管が破れて出血して起こるのが脳卒中です。また、心臓の冠動脈が詰まって起こるのが心筋梗塞、冠動脈が詰まるとまではいかず細くなった状態で起こるのが狭心症です。

糖尿病になったからといって、すぐに合併症を発症するものではないですが、高血糖が長期間に及ぶと発症リスクが高くなることは既に明らかで、血糖を正常域にコントロールすることが合併症発症リスクを抑制することもわかっています。

糖尿病の治療目的は、血糖値を下げることではなく、血糖をコントロールして合併症を予防することです。

5年先、10年先の発症するかもしれない不確かなことに対して、毎日毎食事の目の前の高血糖リスクを摘み取っていくことは、ゴールの見え難い苦しい作業ですが、それがゴールに向かって走っていることそのものですから続けていくしかありません。