ペン型インスリン注射器と痛み

血糖を上げるホルモンがグルカゴン、アドレナリン、成長ホルモン、コルチゾールと複数あるのに対して、血糖を下げるホルモンは唯一インスリンだけです。これは、動物の生きるという本能に関係しているようです。

血糖値とは、血液中のグルコース濃度のことでした。 グルコースは、わたしたちの体が活動していく上で重要なエネルギー源のひとつです。

飢餓状況で無い限り、脳の唯一のエネルギー源はグルコースですから、血糖が下がり続けてグルコース供給が不十分になると、意識を失い死に到る場合もあります。

血糖値を上げるホルモンが複数存在することからもわかるとおり、緊急的生命の危機に対しては何重もの防御機構が備わっています。

確かに血糖値が上がっている状態は、十分に摂食ができているとも言えますから、短期的には問題が無いということなのでしょう。

長期的な問題(細小血管障害による合併症)は認識されていたものの、1970年代以前の1型患者は医療機関に出向いてインスリン注射を受けていたため、ケトアシドーシスにならない程度の回数(良くて1日1回くらい?)の注射で済まされていたようです。

現在はインスリン自己注射が普通のことですけれども、インスリン注射器などのデバイスの進化があってこそです。

注射の痛み

糖尿病患者の中には、インスリン療法で毎日注射をしている人がいます。筆者もその中のひとりです。注射器は使い捨てで、全長約160mm、直径約15mmのペン型です。

インスリン注射器(ノボラピッド注300フレックスペン)の例です。

キャップを外し、先端に注射針を取り付けた状態が写真の上から三番目になります。これを腹壁皮下にブスリと(不安を煽るような擬音ですね、実際はスウッという感じです)注射します。

安心してください。痛みを感じることは、少ないです。

インスリン注射部位は、インスリンの吸収性がよい順番に次の4箇所です。「自己」注射で両手が使えますし、腹壁が最も適していると思います。

  1. 腹壁
  2. 上腕外側部
  3. でん部
  4. 大腿部の上半分の外側

上記4箇所は痛覚神経が少ない部位で、皮膚面積が広いわりには痛点が少ないので注射の痛みを感じにくくなります。

逆に手指は痛点密度が高く、血糖自己測定の採血針の刺入時には、採血用穿刺器具を使って刺入速度を高め、痛みを感じる時間を短くすることにより痛みを軽減しています。

さて、注射部位の痛点密度が低いとは言え、注射針が痛点を刺激しないように針の太さが細いほど痛みを感じにくいことは明らかです。

32Gの注射針(直径0.23[mm])が主流で、最細は34G(直径0.18[mm])です。