腎機能のチェック [糖尿病教育入院3日目]

2007年10月31日 水曜日:いびきがうるさくて熟睡できません。

いびきを掻く人は何故か寝付きが良く、そういう人に限って「夜、眠れなくて」などと言うものですから、おかしくて仕方がありません。

夜中に自分のいびきの音で目が覚めるものだから眠れていないと感じるだけで、睡眠はきちんと取れているにもかかわらず、日中もいびきを掻いて寝ています。さて……

蓄尿検査とは

24時間に排泄される尿を溜めて、1日の尿量や尿に含まれる成分量から

  • 早期腎症の発見
  • 腎臓の機能
  • インスリン分泌能

などを知るために行われる検査です。1日を通して、自分専用のカップに尿を採り、自分専用の蓄尿袋に尿を溜めます。

微量アルブミン尿

糖尿病の慢性期合併症のひとつに、腎臓の糸球体という細小血管が障害される糖尿病性腎症があります。糸球体の濾過機能が低下していき、腎不全に至る病気です。

第1期や第2期は、尿蛋白が陽性だったり陰性だったりという間欠性蛋白尿が認められる時期です。ちなみに、糖尿病と診断された時点で、糖尿病性腎症第1期[腎症前期]の患者です。

激しい運動をした後などでも蛋白尿は出ますので、尿蛋白陽性が1回検出されたからといって、すなわち第2期とは限りません。

第2期においては、尿中に微量なアルブミンが漏れ出すことがわかっており、この時期に適切な治療(=厳格な血糖コントロール)をすることにより、微量アルブミン尿は出なくなります。

微量アルブミン尿とは

通常、尿中にほぼ漏れ出すことのない蛋白成分のひとつであるアルブミンが、微量漏れ出すこと。

  • 糖尿病性腎症の第2期[早期腎症]を診断する指標
  • 腎臓の糸球体の濾過機能に異常が生じ始めている、というマーカー

尿中に蛋白成分が常に漏れ出す持続性蛋白尿が認められるようになると、糖尿病腎症の第3期[顕性腎症]です。

第3期から第2期へ戻ることはなく、第4期[腎不全期]、第5期[透析療法期]へと進行するのみですから、腎症第2期の段階で進行を阻止することが重要で、そのための検査が尿中アルブミン定量検査です。

尿中アルブミン定量検査

微量アルブミン尿による糖尿病性腎症第2期[早期腎症]の診断基準は下記のとおりで、尿蛋白陰性のときに行われます。

随時尿において尿中アルブミンの検査を行い、陽性であれば3~6ヶ月以内に2回検査をして、3回中2回以上陽性のときに微量アルブミン尿と判定され、早期腎症の治療が開始されます。

尿中アルブミン陽性判定基準
  • 正常(陰性)
    • 随時尿<30[mg/gCr]
    • 時間尿<20[μg/min]
    • 24時間蓄尿<30[mg/day]
  • 微量アルブミン尿
    • 30[mg/gCr]≦随時尿<300[mg/gCr]
    • 20[μg/min]≦時間尿<200[μg/min]
    • 30[mg/day]≦24時間蓄尿<300[mg/day]
  • 顕性蛋白尿
    • 300[mg/gCr]≦随時尿
    • 200[μg/min]≦時間尿
    • 300[mg/day]≦24時間蓄尿

尿中アルブミンは、1日24時間に排泄した尿中のアルブミン量(アルブミン排泄量)と定義されます。

尿中アルブミンの定量には、日内変動や日差変動、運動の有無による変動の影響を小さくするために蓄尿が必要ですけれども、これでは日常の検査に向きません。

そこで、病院に行ってその場で採取した尿(随時尿)を使って測定した値から計算した、尿中アルブミン(クレアチニン換算値)[mg/gCr] を診断に用います。

これは、同時に測定した尿中クレアチニンで補正した値(アルブミン指数)なのですが、人が1日に排泄するクレアチニン排泄量はほぼ1[g]であることから、随時尿がその組成のまま1日24時間排泄されたと仮定した場合のアルブミン排泄量を推定していることに他なりません。

腎臓の機能

腎臓の機能は、主に次の3点です。

  • 血液の濾過と再吸収 (尿生成) により体の水分量やその組成の維持・調節を行う。
  • 血液から体内の老廃物を濾過し、尿として排泄する。
  • 血圧や尿量などを調節するホルモンを分泌する。

血液の濾過を受け持つ器官は、腎臓の糸球体と呼ばれる「孔」の開いた毛細血管です。

糖尿病患者は、食後高血糖になったときなどに、尿糖が出る場合があります。

これは、グルコースが糸球体で濾過された後、尿細管において再吸収されるときにその能力以上のグルコースが濾過されて存在しているために、再吸収されなかったグルコースが尿として膀胱に溜まってしまうからです。

糸球体で濾過される物質は、血液中の血漿成分のうちタンパク質を除いた水、電解質 (ナトリウムイオンやカリウムイオンなど)、栄養素 (グルコース)、ガス、ビタミン、代謝産物 (尿素など) です。

タンパク質は糸球体で濾過されない物質ですから、尿中にタンパク質であるアルブミンが一定量以上存在することは、糸球体の機能に問題があることを意味します。

本来血液中にあるべき物質が尿中に漏れ出てしまうのですから、これでは体液の恒常性が維持されません。

クレアチニンクリアランス

医学におけるクリアランスの意味は、腎臓などの臓器が老廃物を排泄する能力を表す指標です。

クレアチニンクリアランスとは

腎機能を表す指標。

  • 糸球体濾過量(GFR; glomerular filtration rate)を推定する値
  • GFR:腎臓のすべての糸球体で血漿が濾過される単位時間当たりの量[ml/min]

クレアチニンクリアランスがGFRを推定する値になる理由は、クレアチニンは糸球体で濾過された後、尿細管で再吸収されずにほぼ全量が尿として排泄される物質なので、血液中のクレアチニン濃度を濾過前の血漿、尿中クレアチニン濃度を濾過後の血漿とみなすことができるからのようです。

クレアチニンクリアランスCcr[ml/min]は、血清クレアチニン濃度Scr[mg/dl]、尿中クレアチニン濃度Ucr[mg/dl] 、尿量V[ml/min]を用いて次式で計算できます。

  • Ccr = Ucr/Scr × V …〈1〉

尿量Vは、24時間蓄尿した尿量を1440(60分×24時間)で割れば求めることができます。

クレアチニンの産生量は筋肉量に比例して多くなるので、男女差や年齢差、体格差を補正してやらないと比較・判断しにくい値のままです。そこで、補正係数(体表面積A[m2]/1.73)を掛けます。

従来は、平均的な日本人の体表面積の1.48を使用していたようですが、国際的に比較できるように「1.73」になりました。〈1〉式を補正すると、次式になります。

  • Ccr =(Ucr/Scr × V) × (A/1.73) …〈2〉

体表面積は、身長と体重を回帰式にあてはめて計算します。回帰式にはDuBois式や藤本式などがあります。平均的な日本人の体表面積を国際標準の1.73としていることから、回帰式も国際標準のDuBois式を使用していると思われます。

また、蓄尿しないで血清クレアチニン濃度と年齢、体重を用いてクレアチニンクリアランスを推定するCockcroftとGaultの式や血清クレアチニン濃度と年齢を用いて算出する推算糸球体濾過量(eGFR)計算式もあるようですが、ここでは省略します。

クレアチニンクリアランスによる腎機能レベルの評価
  • 正常 : 70[ml/min]≦Ccr<130[ml/min]
  • 軽度障害 : 50[ml/min]≦Ccr<70[ml/min]
  • 中度障害 : 30[ml/min]≦Ccr<50[ml/min]
  • 高度障害 : Ccr<30[ml/min]

入院3日目の治療、検査、食事の記録

  • 0700 起床、血圧:120/78[mmHg], 体重:64.2[kg], 蓄尿
  • 0730 血糖値測定:177[mg/dl]
  • 0800 インスリン注射:6単位、朝食:ごはん、かぶとセロリの味噌汁、キャベツと人参と玉ねぎの卵煮、シーチキンとわかめ、納豆、減塩しょうゆ、大根おろしネギ、牛乳

    朝食 2007年10月31日 水曜日 ごはん、かぶとセロリの味噌汁、キャベツと人参と玉ねぎの卵煮、シーチキンとわかめ、納豆、減塩しょうゆ、大根おろしネギ、牛乳

  • 0815 回診
  • 0915 採血
  • 1000 糖尿病教室(1時間):糖尿病三大合併症について、HbA1Cについて
  • 1130 血糖値測定:308[mg/dl]
  • 1200 インスリン注射:4単位、昼食:ごはん、わかめとカイワレのお汁、焼き鮭、菜の花のお浸し、減塩しょうゆ、ごぼうと人参とこんにゃくと凍み豆腐のきんぴら、グレープフルーツ

    昼食 2007年10月31日 水曜日 ごはん、わかめとカイワレのお汁、焼き鮭、菜の花のお浸し、減塩しょうゆ、ごぼうと人参とこんにゃくと凍み豆腐のきんぴら、グレープフルーツ

  • 1300 栄養教室(1時間)
  • 1710 入浴
  • 1730 血糖値測定:178[mg/dl]
  • 1800 インスリン注射:6単位、夕食:ごはん、えのき汁、鶏肉あんかけと大根と人参の煮物、ほうれん草ともやしのお浸し、和風ドレッシング、グレープフルーツ

    夕食 2007年10月31日 水曜日 ごはん、えのき汁、鶏肉あんかけと大根と人参の煮物、ほうれん草ともやしのお浸し、和風ドレッシング、グレープフルーツ

  • 2200 血糖値測定:283[mg/dl]、就寝

蓄尿検査では、尿中Cペプチド(CPR)の検査も行われました。