神経障害のチェック [糖尿病教育入院10日目]

2007年11月7日 水曜日:今日行なわれる神経伝導速度検査が最後の検査です。時間を持て余し気味です。持ち込んだ文庫本も読み終えたし、とにかく暇です。

糖尿病特有の合併症のうち、腎症、網膜症のいずれも初期には自覚症状が無く、

  • 腎症は、糸球体という血液を濾過する機能を持つ毛細血管の障害によって起こり、微量アルブミン尿の検査で早期発見が可能です。
  • 網膜症は、眼の網膜などに様々な異常を生じるもので、眼底検査で確認できます。
  • 神経障害は、比較的初期の段階であっても症状が表れます。

神経末端の足先の左右両方に、しびれ感や錯感覚(感覚を錯覚すること、触覚を痛覚に感じるなど)、冷感などの感覚異常が表れる頻度が高いです。

糖尿病性神経障害

神経は、構造的に次のように分類することができます。

  • 中枢神経系(脳と脊髄)
  • 末梢神経系(神経節と神経繊維とから成る)

末梢神経系は、全身に枝分かれして広がり、四肢や器官、臓器を中枢神経系とつなぐ機能を持ちます。

比較的初期の神経障害は、中枢から最も遠いところにある足先の末梢神経に現れます。そして、この末梢神経に血液を供給する細小血管の病理学的変化と密接に関係します。

足先の血管は、心臓から最も遠いところにあるために、健康な人でも血行が悪くなると、冷えを感じたり、正座をして足が痺れるものです。

細小血管の最初の病理学的変化は、血管収縮です。

  1. 高濃度のグルコースが血管内皮細胞と反応
  2. 血管内皮過形成および基底膜肥厚といった細小血管異常
  3. 血管収縮による血量減少

神経細胞は、血量減少により必要な酸素や栄養が不足して虚血に至り、さまざまな代謝異常が生じて神経障害が起こります。

また、神経細胞も一般の細胞と同様に代謝が行われ、グルコースはインスリン作用に関係なく細胞膜を通過できます。

解糖系で処理しきれなくなったグルコースは、ポリオール代謝経路に入り、アルドース還元酵素の触媒作用によってソルビトールに変わります。

この反応では、補因子NADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を酸化してNADP+にします。

アルドース還元酵素は、通常のグルコース濃度に対して低親和性ですので、ポリオール代謝経路は働きません。

糖尿病のような高血糖状態の高濃度グルコースに対しては高親和性となり、反応はソルビトールを産生する方向に大きく傾き、神経細胞内にソルビトールが蓄積していきます。同時に、他の細胞代謝に必要なNADPHは不足します。

高濃度のソルビトールと低濃度のNADPHが結果として神経細胞の異常を引き起こし、神経障害の原因のひとつになっていると考えられます。

比較的初期の神経障害は、次のような感覚神経の障害が足先に現れ、この時期に血糖コントロールを改善して良好に維持すれば症状を抑えることが可能です。

  • しびれ感
  • 錯感覚(感覚を錯覚すること)
  • 冷感
  • 自発痛
  • アロディニア(触刺激を激烈な痛みと感じてしまう)
  • 感覚鈍麻

下記は自律神経の障害による症状ですが、初めのうちはその症状であることになかなか気付きません。

  • 発汗異常
  • 起立性低血圧(立ちくらみ)
  • 胃不全麻痺(胃もたれ)
  • 便通異常(下痢と便秘を繰り返す)
  • 膀胱障害(尿の出が悪い)
  • 勃起障害

神経伝導速度検査

月一回の通院時に、「足が吊ることはありませんか。しびれはないですか」「便通はどうですか」と問われ、足先を触られます。

これらの質問の意味は、自覚症状から神経障害が発症している可能性を見つけることだと思われます。

糖尿病性神経障害に頻度の高い症状はあっても特異的な症状は無く、検査や診断基準も確立されていません。

  1. 糖尿病である。
  2. 何らかの神経障害の症状がある。
  3. 糖尿病以外の疾患による神経障害を否定できる。

上記1.から3.を満たし、神経伝導速度検査によって末梢神経系の異常が確認されれば、糖尿病性神経障害の確実性は高いです。

神経伝導速度検査は、末梢神経系における刺激の伝わる能力を速度で表わして評価します。

入院10日目の治療、検査、食事の記録

  • 0615 起床、血圧測定:111/68[mmHg]、体重測定:66.2[kg]
  • 0730 血糖値測定:132[mg/dl]
  • 0800 インスリン注射:10単位朝食:ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、麩のりと長葱の味噌汁、炒り煮(蕗、ぜんまい、油揚げ)、温泉卵、減塩しょうゆ、牛乳(炭水化物:98[g]、カロリー:642[kcal]=8.0単位)、食後メルビン1錠

    朝食 2007年11月07日 水曜日 ごはん220[g](82[g]-370[kcal]-4.6単位)、麩のりと長葱の味噌汁、炒り煮(蕗、ぜんまい、油揚げ)、温泉卵、減塩しょうゆ、牛乳(炭水化物:98[g]、カロリー:642[kcal]=8.0単位)

  • 0900 散歩(20分)
  • 0930 回診
  • 1000 神経伝導速度検査
  • 1130 血糖値測定:92[mg/dl]
  • 1200 インスリン注射:6単位、昼食:ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、さんまの塩焼き、はじかみ、なめこおろし和え、冷奴(絹ごし豆腐)、糸かつお、減塩しょうゆ、パインナップル(炭水化物:110[g]、カロリー:715[kcal]=8.9単位)

    昼食 2007年11月07日 水曜日 ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、さんまの塩焼き、はじかみ、なめこおろし和え、冷奴(絹ごし豆腐)、糸かつお、減塩しょうゆ、パインナップル(炭水化物:110[g]、カロリー:715[kcal]=8.9単位)

  • 1300 散歩(20分)
  • 1730 血糖値測定:130[mg/dl]
  • 1800 インスリン注射:8単位、夕食:ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、生麩と春菊のお汁、ハンバーグ、きのこソース(しめじ、えのきたけ)、胡桃和え(小松菜、人参)(炭水化物:95[g]、カロリー:531[kcal]=6.6単位)、食後メルビン1錠

    夕食 2007年11月07日 水曜日 ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、生麩と春菊のお汁、ハンバーグ、きのこソース(しめじ、えのきたけ)、胡桃和え(小松菜、人参)(炭水化物:95[g]、カロリー:531[kcal]=6.6単位)

  • 1900 散歩(20分)
  • 2200 血糖値測定:133[mg/dl]、就寝