食事療法の脱カロリー計算 [糖尿病教育入院13日目]

2007年11月10日土曜日:教育入院プログラムの期間は14日間ですが、「今日でも明日でもいつでも退院していいですよ」と言われています。

教育入院の目標のひとつ、糖尿病をよく理解し、自己管理ができるようになるは、自分の意思で行動して血糖をコントロールすること、と理解しました。

「食事」と「運動」は、どちらも自分の意思で実行できることですが、語尾に「療法」という言葉を付けてしまうと、とたんに億劫に感じてしまいます。

『糖尿病治療の手びき』によると、糖尿病の食事療法の目標は、適切なエネルギー量(カロリー)とバランスのよい栄養配分によって、血糖値、血圧、血中脂質などを良好に保ち、健康な人と同様な日常生活が送れること、とあります。

1日に必要なエネルギー量

1日のエネルギー摂取量(カロリー)は、その人の年齢、性別、身長、体重、日常の身体活動の程度をもとに決めることができます。

必要エネルギー摂取量

エネルギー摂取量[kcal]=身体活動量[kcal/kg]×標準体重[kg]

  • 身体活動の程度と標準体重1[kg]あたりのエネルギー量
    • 軽い(デスクワークが主な人):25~30[kcal]
    • 中程度(立ち仕事が多い職業):30~35[kcal]
    • 重い(力仕事が多い職業):35~40[kcal]
  • 標準体重[kg]=(身長[m]×身長[m])×22

筆者の場合、身体活動量は「軽い」、標準体重は68.9[kg]なので、この条件で計算してみると下記のようになります。

  • エネルギー摂取量=25~30[kcal/kg]×68.9[kg]=1,723~2,067[kcal]

この入院中に「目標体重は65[kg]として太らないように注意して」と言われているので、これをあてはめると、1,625~1,950[kcal]になります。

もし、体重を68.9[kg]から65.0[kg]に減らしたいとしたら、食事から摂取するエネルギー量を1日あたり約100[kcal]減らせば良いのです。

下の写真のごはん一杯の四分の一が約100[kcal]に相当します。「その一口がデブになる」と言いますけれども、あながち間違いではないですね。

ここで留意したいことは、カロリー至上主義に陥らないことです。食材を[g]単位で計量してカロリー計算を厳しく行っても、糖尿病患者にとって労力が多い割には、あまり実はありません。

HbA1cと体重の現状に対して食事の量や内容はどうだったか、併せてインスリン量はどうだったか、という方向から見るべきだと思います。

HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖を表わしているのですから、目先のカロリー計算よりも、1~2ヶ月という長い期間で食事を捉えて、対応させればよいのではないでしょうか。

ただ、インスリン療法は食事とマッチングさせることが重要なので、食事の量や内容を見極める目は必要かと思います。

そもそも、上記の計算式において、身体活動量[kcal/kg]の値が曖昧な中でエネルギー摂取量(カロリー)を算出したところで、その絶対値に意味がありませんし、目安でしかありません。

HbA1cが一定の状態において、体重を減らしたい時、食事をA[kcal]減らした結果として体重がB[kg]減ったというデータが得られて初めて身体活動量(=A/B[kcal/kg])が確定し、ようやくエネルギー摂取量(カロリー)が意味を持つ値になると思うのです。

2型糖尿病においては、痩せることでHbA1cが改善するであろう人が多いと思います。

カロリー計算して食事を作る、という面倒な事はしないで、今までの食事から減らす分だけを計量する。

例えば、ごはんを220[g]食べていたところを180[g]にして40[g]減らす、という簡単なやり方でよい、つまり「食事療法にカロリー計算は必要ありません」と言いたいのです。

筆者の食事療法

2010年9月現在の筆者の食事は、1日3食、ごはんは1食140[g]、おかずの量はそのごはんの量を食べるのに見合った程度、ちょうど下の教育入院中の食事写真からごはんの量を減らした感じです。

ごはんの量だけを計って、おかずの量は多かったり少なかったりいい加減です。

糖尿病食事療法は、まずカロリーありきの如く教わりますけれども、筆者は体重の増減で代用しています。

ですから、1日何キロカロリー分の食事を食べているかはわかりませんし、摂取カロリーに対してはいい加減です。

血糖コントロールの評価

体の中におけるグルコースの状態から糖代謝の良し悪しを見る。血糖値や尿糖は、その時々で変動が大きいので、HbA1cで評価する。

  • HbA1c:過去1~2ヶ月の平均的な血糖レベルを表わす
  • 血糖値:血中グルコース濃度のことで、空腹時や食後2時間値で見る
  • 尿糖:腎臓の糖排泄閾値を越えて尿中に漏れ出たグルコースのことで、血糖を間接的に見る

HbA1c[%]が大きくなる原因は、インスリン作用が低下して糖代謝がうまくできなくなり、血液中にグルコースが多く存在してしまうことにあります。

筆者の場合、インスリン分泌量が少ないことからインスリンを注射で補っていますので、血糖コントロールの直接的パラメータは、インスリン注射量です。

HbA1cが一定でインスリン注射量も一定、体重の増減も無く一定で推移しているのであれば、そのときの食事の内容は、食事療法としてマッチングしていると言えるでしょう。

ところが、2010年1月ころからHbA1cが悪化して、2010年3月には7.7[%](NGSP)になってしまいました。

HbA1cが悪化した要因
  1. 食事の量が増えたため?
  2. インスリンの効きが悪くなったため?
  3. 1.と2.の両方?

食事の内容は本人が一番知っていますから、1. は否定できます。おそらく2.なのではないかと推測し、HbA1cを改善するためにはインスリン注射量を増やす必要がある、と思いました。

実際、インスリンを少しずつ増やす毎にHbA1cは良くなっていき、2010年9月には6.4[%](NGSP)まで改善しましたが、体重は2~3[kg]増えてしまいました。

良くなっていったら、今度はインスリン注射量を少しずつ減らしていく治療が行なわれました。それに伴って体重も減っていき、HbA1c、インスリン注射量および体重は一定のところで落ち着きました。

食事の内容は、元々食事療法としてマッチングしていたので、量を減らす事はしませんでした。HbA1cが悪化する度に食事の量(特に炭水化物)を減らしていたら、食べるものが無くなってしまいます。

このように、HbA1cに注目していれば食時毎にカロリー計算する必要は無く、

  • 炭水化物として支配的な ごはんの量を計るだけ のいい加減な食事療法

であっても、意外と大丈夫なのだと気付きます。

もし、食事の内容や量を変更する必要があるならば、HbA1cが数ヶ月の期間で安定している時に行なうべきでしょう。このような考えに到るのに、いろいろと試行錯誤して約2年半かかりました。

入院13日目の治療、検査、食事の記録

  • 0610 起床、血圧測定 : 109/57[mmHg]、体重測定 : 66.0[kg]
  • 0730 血糖値測定:130[mg/dl]
  • 0800 インスリン注射:9単位、朝食 : ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、玉葱と水菜の味噌汁、湯豆腐(木綿豆腐)、減塩しょうゆ、炒り煮(大根、人参、竹輪)、味付けのり、牛乳(炭水化物:105[g]、カロリー : 653[kcal]=8.2単位)、食後メルビン1錠

    朝食 2007年11月10日 土曜日 ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、玉葱と水菜の味噌汁、湯豆腐(木綿豆腐)、減塩しょうゆ、炒り煮(大根、人参、竹輪)、味付けのり、牛乳(炭水化物:105[g]、カロリー:653[kcal]=8.2単位)

  • 0900 散歩(20分)
  • 1130 血糖値測定:149[mg/dl]
  • 1200 インスリン注射:6単位、昼食 : 生そば260[g](68[g]=343[kcal]=4.3単位)、めんつゆ、薬味(小葱、わさび)、にしんの甘露煮、花卵、大根おろし、菜の花のお浸し、マヨネーズ、バナナ(炭水化物:103[g]、カロリー : 670[kcal]=8.4単位)、食後メルビン1錠

    昼食 2007年11月10日 土曜日 生そば260[g](68[g]=343[kcal]=4.3単位)、めんつゆ、薬味(小葱、わさび)、にしんの甘露煮、花卵、大根おろし、菜の花のお浸し、マヨネーズ、バナナ(炭水化物:103[g]、カロリー:670[kcal]=8.4単位)

  • 1300 散歩(20分)
  • 1730 血糖値測定:124[mg/dl]
  • 1800 インスリン注射:8単位、夕食 : ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、小松菜ともやしのお汁、八宝菜風(若鶏肉、白菜、玉葱、椎茸、さやえんどう)、酢の物(きゅうり、みかん、青しそ)、つるむらさきのお浸し、減塩しょうゆ(炭水化物:103[g]、カロリー:529[kcal]=6.6単位)、食後メルビン1錠

    夕食 2007年11月10日 土曜日 ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、小松菜ともやしのお汁、八宝菜風(若鶏肉、白菜、玉葱、椎茸、さやえんどう)、酢の物(きゅうり、みかん、青しそ)、つるむらさきのお浸し、減塩しょうゆ(炭水化物:103[g]、カロリー:529[kcal]=6.6単位)

  • 2200 血糖値測定:119[mg/dl]、就寝