HbA1cと網膜症進行リスクおよび重篤な低血糖発生率

「糖尿病の大規模臨床研究 DCCT」の研究報告では、網膜症の進行リスクおよび重篤な低血糖の発生率とHbA1c(NGSP)の関係を解析し、提示しています。

厳格な血糖コントロールを行なえば、合併症の発症リスクは減少しますが、食事や運動量に応じてインスリン量を積極的に調節する強化療法は、低血糖になるリスクも増えていきます。

運動は、予想もしない時間帯に低血糖を起こすことがあります。血糖を健康人と同等に維持しようと努めるDCCTの強化療法では、しばしば重篤な低血糖が起こっていたようです。

けれども、重篤な低血糖のリスクを低減しつつ強化療法の恩恵を最大限生かすような血糖コントロールの数値目標は、この研究報告では答えることができない、と言っています。

低血糖は、患者からすれば血糖コントロールを厳格にした結果です。難しいものです。

DCCTの研究報告では、血糖コントロールの数値目標は答えることができないとしながらも、下記の解析を示しています。

ただし、強化療法の恩恵を最大にし、合併症発症リスクを最小にするような特定のHbA1c(NGSP)目標値を確認するものではない、と念を押しています。

リンク先のFigure 5. Panel A(左側のグラフ)は、網膜症の進行リスクとHbA1c(NGSP)の関係を表し、縦軸は網膜症の進行リスク、横軸はHbA1c(NGSP)です。

網膜症の進行リスクは、HbA1c(NGSP)の上昇に従って大きくなります。

リンク先のFigure 5. Panel B(右側のグラフ)は、重篤な低血糖の発生率とHbA1c(NGSP)の関係を表し、縦軸は重篤な低血糖の発生率、横軸はHbA1d(NGSP)です。

重篤な低血糖の発生率は、HbA1c(NGSP)が正常人のそれに近づくほど大きくなります。

合併症を予防するためには、血糖を健康人の正常範囲内にコントロールしたいところですけれども、低血糖が起きやすくなるという何とも悩ましい問題が発生します。

イレギュラーな低血糖は、その都度対処するしかありません。