血液中のグルコースの元

糖尿病教育入院中は、低血糖のことを繰り返し教えられました。

低血糖の症状を感じたら
  1. ブドウ糖または砂糖を10~20[g]摂取する。
  2. 血糖値が元に戻る。

ブドウ糖(=グルコース)や砂糖を口にすると、血糖値(=血中グルコース濃度)は上昇するということですね。また、治療の基本は、1型2型を問わず食事療法と教えられます。

食事療法の基本
  1. 適切なエネルギー量 (カロリー) を
  2. バランスのとれた栄養配分で
  3. 摂取すること。

栄養配分の目安は、「カロリーの55~60[%]を炭水化物で、15~20[%]をタンパク質で、脂肪は25[%]以下が目安です」というように。

ただ、この情報だけで食事療法を行なおうとすると、メニューを考えて、食材を計量して、交換して組み合わせて、調理して……とても続きません。

何がグルコースの元となるのかを把握すれば、食事療法のヒントになるはずです。

炭水化物 (糖質)

食物に含まれている「栄養素」が消化されてグルコースとなり、腸管吸収されたグルコース(図中の緑丸)は、血液中を循環して各組織に届けられます。

組織の細胞はグルコースを取り込み、グルコースは、主要なエネルギー源として代謝されます。

図1.グルコースの出現と消失:グルコースは、肝臓の糖新生やグリコーゲン分解により体内で合成することができますが、その材料となるものは、食物から摂取される栄養素です。

その「栄養素」とは、炭水化物です。

炭水化物の分類の仕方はいくつかありますが、糖尿病患者に意味のある分類をしてみます。

炭水化物の分類
  • 糖質:食物繊維以外の炭水化物
    • 糖類
      • 単糖:これ以上加水分解されない最も単純な糖質
      • 二糖:単糖1分子と単糖1分子が結合した糖質
    • その他
      • 多糖:単糖分子が長鎖状に多数重合した糖質
  • 食物繊維:消化酵素で消化できない難消化性成分のこと

食物に含まれている炭水化物は、口から胃、胃から小腸へと送られる過程で消化されていき、最終的にグルコースを主とした単糖類にまで分解されます。

消化・分解された単糖類は、小腸から吸収されて門脈を通り、肝臓を経由して血流に乗ります。

肝臓は、食後に増加した血中のグルコースを細胞内に取り込んで、グリコーゲンという多糖の形で貯蔵します。また、末梢の筋肉や脂肪組織もグルコースを取り込み、それを利用します。

単糖類のフルクトースやガラクトースは、糖新生の中間体に変換されて、グルコースの材料になることができます。結局……

  • 炭水化物を食べると、血液中のグルコースは増加するので、血糖値は上がる。

炭水化物は、主に植物の光合成でつくられるので、植物に由来する食物に糖質が多く含まれます。

米や小麦、トウモロコシなどの穀物やジャガイモやサツマイモなどの芋類およびそれらのデンプンは代表的な炭水化物で、主食とされるごはんやパン、パスタなどもそうです。

単糖

糖質の最も基本的な単位が単糖で、二糖や多糖の構成要素になっています。一般に、単糖は水溶性の無色結晶性固体で、甘味があります。

ブドウ糖(グルコース)

果実・蜂蜜・体液中に存在します。ブドウから発見されました。「ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源です」という記述を目にすることが多いですが、飢餓状態や重度の糖尿病のときには、ケトン体をエネルギー源として利用できます。

果糖(フルクトース)

名前由来は、果物に多く含まれるからです。フルーツのフルですね。

ガラクトース

名前由来は、ギリシャ語で「乳」を意味する galakt から。

二糖

二糖は、2分子の単糖が脱水反応により結合して形成されます。

ショ糖(スクロース)

ブドウ糖1分子と果糖1分子が結合したもので、砂糖の主成分です。砂糖≒ショ糖=ブドウ糖+果糖 と捉えてよさそうです。低血糖の症状が出た場合の対処は、ブドウ糖+果糖からブドウ糖を分解する時間が必要なため、砂糖を摂取するよりブドウ糖を摂取した方が良いです。

麦芽糖(マルトース)

ブドウ糖2分子が結合したものです。名前の由来は、発芽大麦にお湯を加えることによりデンプンが糖化されたもの (=モルト) に多く含まれることから。

乳糖(ラクトース)

ブドウ糖1分子とガラクトース1分子が結合したもので、牛乳やお乳に含まれています。ラクトアイスのラクトですね。意外にも、牛乳の中に消化・分解されるとブドウ糖になる成分が含まれています。

多糖

多糖は、単糖が多数結合して長鎖状になっている糖重合分子です。

デンプン(スターチ)

ブドウ糖が多数結合したものです。種子や球根に多く含まれます。とうもろこし、小麦、米、豆類、じゃがいも、さつまいもなどがその原料となります。

グリコーゲン

これもブドウ糖が多数結合したものです。主に肝臓と骨格筋で合成され、体内で利用されずに余ったブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵しておくことができます。

デキストリン

デンプンが分解される途中の産物で、デンプン→デキストリン→麦芽糖→ブドウ糖と分解されていきます。