医療費の内容が分かる領収証と明細書は無料即時発行

保険医療機関の窓口で自己負担分支払いを済ませると受け取る領収書は、診療にかかった費用がわかるように、明細内訳として初・再診料や検査といった項目毎の診療報酬点数(1点=10円)およびその合計点数を記載することが保険医療機関に義務付けられています。

保険薬局で薬を処方してもらった場合も同様で、領収書には項目毎の調剤報酬点数およびその合計点数が記載されています。

このような「医療費の内容の分かる領収証」は、

  • 平成18年度(2006年4月1日)から無償で発行してもらえるようになった。
  • 平成20年度(2008年4月1日)からは無償発行が義務になった。

このことは、レセプトオンライン化における患者側のメリットのひとつです。

筆者がデメリットと感じたのは、1型糖尿病患者の適応外使用としてメトグルコ®の処方が中止されたことです。

おそらく、電子レセプト請求に係る突合点検で審査されたのではないか、と推測します。

「決めたこと」は守らなければなりませんけれども、レセプトおよびそれに伴う医療情報はビッグデータと言えるものであり、デメリットを最小限に抑え、メリットを最大限に活かすよう運用してもらいたいものです。

平成18年度から「医療費の内容の分かる領収証」発行は努力義務

項目毎の診療報酬点数や調剤報酬点数がわかる領収書のことを、厚生労働省のことばでは「医療費の内容の分かる領収証」といいます。

これは、平成18年度(2006年4月1日)から無償で発行されるようになりました。

保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部を改正する省令(平成18年厚生労働省令第27号)並びに老人保健法の規定による医療並びに入院時食事療養費及び特定療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準の一部を改正する件(平成18年厚生労働省告示第106号)により、保険医療機関等及び保険薬局は、平成18年4月1日より、患者から療養の給付に係る一部負担金等の費用の支払を受けるときは、正当な理由がない限り、個別の費用ごとに区分して記載した領収証を無償で交付しなければならない。

「医療費の内容の分かる領収証」から項目毎の診療報酬点数はわかりますが、その項目の明細がわかる領収書にはなっていません。

明細書は、患者から求めがあったときは、個別の診療報酬点数の算定項目の分かる明細書の発行に努めることという努力義務になっています。

その際の費用については、現時点においては、保険医療機関等、保険薬局及び指定訪問看護事業者と患者との間の関係にゆだねられているものと解することができるが、仮に費用を徴収する場合にあっても、実費相当とするなど、社会的に妥当適切な範囲とすることが適当であるとされています。

明細書を発行してくれないかもしれないし、発行してくれるとしても発行費用を取られるかもしれないし、その費用も決まっておらず、要は医療機関や薬局によって対応が異なる、ということです。

平成20年度からは「医療費の内容の分かる領収証」発行は義務へ

平成20年度診療報酬改定により「医療費の内容の分かる領収証」の点数算定明細書の発行は、努力義務から義務になりました。

保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第28号)及び老人保健法の規定による医療並びに入院時食事療養費及び特定療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準の一部を改正する件(平成20年厚生労働省告示第70号)により、平成20年4月1日より、電子情報処理組織を用いて療養の給付費等を請求することとされた保険医療機関は、患者から療養の給付に係る一部負担金等の費用の支払を受け、患者から求められたときは、当該費用の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を交付しなければならない。

これは、電子情報処理組織を使用して療養の給付費等の請求を行うこととされた保険医療機関については、明細書を即時に発行できる基盤が整っていると考えられるからです。

つまり、私たちが保険医療機関の窓口で支払う分以外の診療報酬を、例えば企業の健康保険組合等に保険医療機関は後日請求する訳ですが、その請求がオンラインシステム化(レセプトオンライン化)されている保険医療機関であるならば、明細書を即時に発行できる基盤が整っていると考えられるので、患者が明細書を求めたら発行しなければなりません、ということです。

明細書の様式は上記にあげたとおりですが、このほかに診療報酬明細書の様式(pdf)を活用することもできます。診療報酬明細書とは「レセプト」と呼ばれているもので、保険医療機関が診療報酬を保険者に請求する場合の明細書のことです。

レセプトオンライン化は、平成18年度医療制度改革に関する医療費適正化施策のひとつで、特定健康診査・特定保健指導や後期高齢者医療制度と同類のものです。

レセプトオンライン化スケジュール(pdf)によると、2008年4月1日より400床以上の大病院から実施されています。厚生労働省直轄の国立高度専門医療センターや国立病院機構が運営する全国146の病院では、2008年9月時点ですべての患者に無料で明細書を発行しています。

筆者が通っているクリニック(診療所)ではレセプトオンライン化済みのようで、初診時に電子化加算として3点(30円)をインフラ整備のために患者側が負担しています。

レセプトオンライン化は不安

レセプトオンライン化は、受けた医療の内容やその費用、薬剤の費用などの詳細がわかる明細書が患者側に発行されることによって、受けなくてもよい医療、必要の無い薬などが明確になり、医療費の無駄が減るかもしれません。

一方、病名や診療・投薬内容などの患者の個人情報が厚生労働省に集まり、さらに特定健康診査の検査データも収集されます。

厚生労働省が管理できるはずがないことは、年金記録の前例を見ればわかります。

国民の膨大な健康に関する個人情報は恣意的に利用・捏造され、厚生労働省に都合の良い試算として発表され、医療費は消費税で負担やむなし方向に誘導し、けれども医療サービスの質低下という負のループを予想してしまいます。

2014年現在、医療・介護、年金、子育て支援、生活保護の分野でのレセプトデータの活用(pdf)が提案され、持続可能な社会保障制度の構築に向けて検討が進められているようです。