糖尿病の予防と治療:食事、運動、薬の相乗効果

1型糖尿病の発症予防は今のところ難しいものの、2型は発症するまでの時間が長いので、リスクが分かった時点で予防行動を起こせば可能です。

生活習慣の改善により食べる量を減らしたり、身体を動かす機会を増やしたりして、体重を少し落とすことを勧められます。

簡単なことですが、「ダイエット」したいと思っていても成功する人は少ないですし、果たして発症リスクがモチベーションになるのかどうか……。

さて、治療の基本は、患者が主体的に行わなければない食事と運動です。今までと同じ生活を送っても血糖値が高くなるくらいで自覚症状も感じない中、具体的に何をすれば治療効果を高められるのか。

どうせ自分に合った治療内容を模索しなければならないのですから、根拠に基づく治療の範囲内から選択したいものです。

患者にとっての「根拠に基づく医療」

食事療法と運動療法が修行のように苦しいと感じた時、治療の根拠を「ガイドライン」で調べたり、別な方法の「根拠」を探して吟味して自分の状況…

予防:発症リスクを低減させる

2型糖尿病は、予防あるいは発症を遅らすことが可能です。

  • 適正な体重を保っている。
  • 健康的な食事を摂っている。
  • 身体をよく動かしている。

そう、年を取っても若い頃のような生活を送ることができれば良いのですが、なかなか容易なことではないので、糖尿病が「生活習慣病」と言われるのでしょうね。

糖尿病は予防可能

糖尿病発症のハイリスク群を対象にした研究の結果、食事と運動を通して体重を7[%]減量することで2型糖尿病の発症を予防できることが示されまし…

「前糖尿病」状態

2型糖尿病を発症した人のほとんどは、数年をかけてゆっくりと進行します。

図1.糖尿病の自然経過:インスリン作用不足の程度に応じて、血糖値は正常域から境界域へ、境界域から糖尿病域へと進展していきます。

「前糖尿病」状態かどうかは、通常、健康診断や特定健診で行われる血糖検査、

  • 空腹時血糖値
  • HbA1c(NGSP)

のスクリーニング結果から把握することができます。

「前糖尿病」状態とは?

「前糖尿病」状態の血糖レベルは、正常よりは高いが糖尿病と診断されるほど高くはない。2型糖尿病の他に、動脈硬化による心血管疾患(心筋梗塞…

糖尿病発症のハイリスク群

「前糖尿病」状態の人に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)をすると、次の3つのグループのどれかに区分されます。

  • 糖尿病型:糖尿病が強く疑われる群
  • 境界型:耐糖能異常=糖尿病発症のハイリスク群
  • 正常型:正常高値

ハイリスク群の人の多くは耐糖能異常のまま経過するのですが、将来のことなど誰にもわかりません。ただ、生活習慣を変えることによりリスク因子を減らし、発症リスクを低下させることは可能です。

2型糖尿病のリスク因子

2型糖尿病発症前は、血糖レベルが正常より少し高い状態=耐糖能異常(俗に言う「糖尿病予備軍」)が見られる。45歳以上、糖尿病家族歴、過体…

血糖が正常範囲内でも高め(正常高値)の人は、定期的な血糖検査を勧められます。年齢が45歳以上であったり、糖尿病家族歴がある人は、毎年受けるのがよいと思います。

糖尿病家族歴

糖尿病家族歴とは父母兄弟姉妹の誰かが2型糖尿病であることを言い、その遺伝的素因を確率的に50[%]共有しているので将来発症するリスクが高い…

生活習慣の改善

次の3つに関係する生活習慣は、2型糖尿病の発症と強く密接に関連しています。

  • 肥満(過体重)
  • 食事
  • 身体活動

IFG(impaired fasting glucose, 空腹時血糖異常)またはIGT(impaired glucose tolerance, 耐糖能障害)の耐糖能異常に加えて過体重や肥満の人は、糖尿病発症のハイリスク群です。

このような人は、生活習慣を改善して体重を5~10[%]減量することにより、発症の遅延あるいは予防が期待できます。

過体重を解消するためのヒント

体重減量のヒントは、生活習慣を少しずつ変えていくことです。普段の日々の生活の中で簡単にできそうなことを選び、具体的な数字を入れて目標を…

エネルギー収支を「摂取エネルギー<消費エネルギー」にすれば体重は減りますが、豆腐しか食べない、キャベツしか食べないといった「○○ダイエット」は必要ないです。

自分の今の体重の5[%]から10[%]分を落とすことが目標ですから、必要な栄養素を摂りつつ健康的な食事を食べて痩せることは、そう難しくはありません。

健康的な食事を摂るためのヒント

食事は、環境要因の中で自助努力で何とかできることのひとつです。何を食べるか、どの位の量を食べるか、いつ食べるか、賢く選択することによっ…

1日を通して座っている時間が長いなどの身体活動量が低下している人は、糖尿病の発症リスクが高いです。

運動は、体重減少とは独立して発症を予防するほか、高血圧や脂質代謝異常といったリスク因子を改善する効果があるので、「食事」と「運動」の組み合わせがベストです。

「前糖尿病」状態と身体活動

運動は、体重減少とは独立して2型糖尿病の発症を予防します。「前糖尿病」状態で痩せている人や運動不足、高血圧、脂質代謝異常の人にも有効…