多尿かつ尿糖陽性はほぼ糖尿病の典型的症状

通常の尿量は、1日に1.5[L]ほどです。

多尿とは?
  • 1日の尿量が2.5~3.0[L]以上の状態
    • 多尿は口渇を伴う。
    • 口渇が水分の大量摂取(多飲)を誘引する。
    • 多飲により多尿が維持される。

この「多尿 → 口渇 → 多飲 → ……以下ループ」といった症状は、インスリン作用不足に起因する代謝異常の程度が相当悪化して、血糖値が著しく高い状態にあるときのそれと同じです。

多尿は、次の2つに分類することができます。また、尿を多く生成して排泄することを利尿とも言います。

浸透圧利尿

腎臓の尿細管におけるグルコースや電解質などの再吸収に関係します。

  • 尿中の溶質量が通常より多く含まれている。
  • 代表的疾患は糖尿病(原因溶質はグルコース)
水利尿

腎臓の集合管における水分の調節的再吸収に関係します。

  • 尿中の水分量が通常より多く含まれている。
  • 代表的疾患は尿崩症

糖尿病による多尿は、糖代謝異常の程度がかなり悪化しないと起きないため、多尿と尿糖陽性が同時に確認されたなら、糖尿病が強く疑われます。

しかし、糖尿病の初発症状としての多尿は、意外と自覚できないものです。

筆者が経験した糖尿病の自覚症状

インスリン作用不足に起因する代謝異常による症状は、著しい高血糖状態にならないと表れません。尿糖としての糖排出に伴う多尿により脱水症状と…

浸透圧利尿の代表的疾患は糖尿病

多尿(利尿)が水利尿なのか浸透圧利尿なのかの判別は、尿浸透圧を測定して、等張尿に相当する尿比重または尿浸透圧と比較します。

利尿の判別
  1. 尿比重または尿浸透圧が明らかに低値 → 水利尿の可能性が高い。
    • 相対的に水分量が多いことが推測される。
  2. 尿浸透圧が等張尿より高値 → 浸透圧利尿の可能性が高い。
    • 相対的に溶質(尿に溶けている物質)の量が多いことが推測される。

浸透圧利尿の原因物質のほとんどは、次の2つのどちらかです。

  • 利尿剤
  • グルコース

利尿剤を投与されていないことが確認できて尿糖陽性ならば、ほぼグルコースが浸透圧利尿の原因物質と考えられます。

多尿を引き起こすほどの尿中グルコースの存在は、空腹時でも血糖値が250[mg/dl]を超えるような高血糖状態を示唆しますので、糖尿病が強く疑われます。

この時点で血糖値が糖尿病型を示すことが確認されれば、「糖尿病は有る」と判断できます。

尿生成

腎臓の主な機能は、血液を濾過して、老廃物や過剰な水分および電解質を尿として排出することです。

腎臓と尿路

腎臓の機能を担う最小の構造物はネフロンで、以下の3部分から構成される。

  1. 腎小体
    • 糸球体
    • ボーマン嚢
  2. 尿細管
    • 近位尿細管
    • ヘンレのループ下行脚
    • ヘンレのループ上行脚
    • 遠位尿細管
  3. 集合管(複数の尿細管が1本に集まっている管)

膨大な数のネフロンの集合管を通過してきた尿は、以下の尿路から体外へ排泄される。

  • 集合管 → 腎杯 → 腎盂 → 尿管 → 膀胱 → 尿道 → 排泄

腎臓に入った血液は、成分の違いにより次の3つのルートにのります。

尿生成の経路
  • 腎動脈 → 輸入細動脈 → 糸球体 →
    1. [濾過されず] → 輸出細動脈 → 腎静脈
    2. [濾過(原尿)] → ボーマン腔 → 近位尿細管 →
      1. [再吸収] → 腎皮質 → 輸出細動脈 → 腎静脈
      2. [再吸収されず(尿)] → ヘンレのループ → 遠位尿細管 → 集合管 → 尿路へ

浸透圧利尿

ヘンレのループ上行脚では、電解質だけが選択的に再吸収されることにより髄質間質液の濃度は濃くなり、髄質間質液は高浸透圧になります。

この浸透圧が原動力となって、ヘンレのループ下行脚で水分を再吸収します。

近位尿細管において再吸収しない、あるいは再吸収できなかった何らかの物質が、ヘンレのループ下行脚内の原尿の中に存在している場合、

  1. 原尿の濃度が濃くなる → 浸透圧が上昇
  2. 上昇した分に相当する水分が再吸収されない → 原尿の量が多くなる

結果として多尿になります。

水利尿

遠位曲尿細管と集合管では、水分の透過性が抗利尿ホルモン(ADH; antidiuretic hormone)により調節されます。

ADHの作用を受けている場合は、遠位曲尿細管と集合管の水透過性は良くなり、髄質の高浸透圧により水分の再吸収が亢進します。

逆に、ADHの作用を受けていない場合は、水透過性が悪くなり、水分の再吸収は抑制され、結果として多尿になります。