ナキウサギを探しに東雲湖へ行く(1984年)

この年の8月27日、オコタンペ湖湖岸まで登り(当時は急な登山ルートを歩いて湖岸まで行けたのだ)、その日のうちに苫小牧からフェリーで北海道を離れた。そして翌月23日、再び苫小牧に上陸した。

一週間ほど美国に滞在し、東雲湖へ行ったのは10月に入ってから。

東雲(しののめ)湖は別名「東小沼」と言われるとおり、周囲約800[m]の小さな湖。1984年10月5日撮影。美しい。紅葉はすでに終わり、残っている広葉樹の葉は茶色。撮影側はガレ場、対岸は草原が広がっているように見えるがクマザサらしい。

一瞬雪が降ってきたほどの寒さで、バイクで走っているより歩いた方がいい。東雲湖周辺のガレ場にはナキウサギが生息しているらしく、興味もあった。

しかし、革ツナギにブーツ、グローブというライダーの恰好で、よくもまあ歩いて行ったものだ。途中で、観光遊覧船が然別湖面を進むのが見え、東雲湖までもうすぐ(約700[m])のところに桟橋があって、「えぇーっ」と思いましたよ。

写真のような景色を独り占めできたのは、徒歩でしか行けないからこそ。果たして、ナキウサギには会えたのか?

東雲湖へのアプローチ

然別湖畔温泉から鹿追町の方へ(南へ)道道85号線を湖岸沿いに約1.5[km]ほど行くと、左手側(湖岸側)に車数台が駐車可能なスペースがあった。

そこは白雲山と天望山の登山道入口で、東雲湖へは山頂を経由しても行けるし、山に登らずに然別湖岸沿いの道を行くこともできる。

現在は道道85号線が新しくなり、然別湖畔温泉からすぐの湖畔トンネルを抜けて約550[m]先から旧道道85号線に入らなければならない。通行止めのゲートが設置されているところを左へ進むと旧道になる。(Google マップのストリートビュー画像

標識は無いが、よく見ると「白雲橋」という立札があり、然別湖から流れ出るトウマベツ川に掛かるこの小さな橋を渡ってすぐ左が登山道入口。

然別湖岸沿いのルート

バイクを降りて革ツナギにオンロードブーツというある意味重装備で歩いている姿はいかにも奇異に見えるが、「北海道三大秘湖」の中で唯一、東雲湖への直接の連絡道路が無く、バイクでは行くことができないため仕方がない。

幸い誰一人とも会わず、エゾシカが「何よ、あれ」というような感じでこっちを見ていただけだった。

湖岸沿いのルートの状態は、道幅が狭い以外は普通に森の中の遊歩道で、標準的な所要時間は往復3時間ほど。

当時は東雲湖まで20分ほどの湖岸に桟橋があり、観光遊覧船から降りて行くことができた。現在は、船を使うにしても人力で漕いで近づかなければならない。

湖岸を離れ、岩(ガレ場)が目立つようになったら東雲湖はもうすぐ。

ナキウサギはどこ?

動物の鳴き声らしき音は、全く聞こえなかった。本当にナキウサギはいるのだろうか?

30分待ってもシマリスがちょろちょろ動き回っているだけ。結局、ナキウサギの「しっぽ」も掴めずに来た道を戻った。

シマリスは人間を警戒もせず動き回っていた。1984年10月5日撮影。シマリスはすぐ近くまで寄って来る。ナキウサギは警戒しているのかもしれない。

再び東雲湖へ

1987年8月、知床ツーリングの帰路に再び東雲湖を訪れた。この時もナキウサギを見ることはできなかった。

夏の季節の東雲湖1987年8月撮影。この日は曇り空で風はなく、ぱっとしない天気。朝のせいか今回も誰とも会わなかった。

警戒心の無いシマリス1987年8月撮影。またシマリス。警戒心が無く、目の前に人間がいるのに逃げもしない。手に持っているのは、おにぎりを包んでいた紙を丸めたもの。

30数年後、You Tube で「頑張れ!エゾナキウサギ」などを見ると、まぁめんごい。ナキウサギの生態を今更ながら調べてみて、知識や情報も無くガレ場に行っても徒労に終わることがわかった。

2度ともシマリスがチョロチョロしていたので、その近辺にナキウサギが姿を現す確率は低い。ましてや30分かそこら探しても、そう簡単には見つけられないということだ。

行くのに往復3時間かかる東雲湖より15分で行ける駒止湖のガレ場で3時間粘った方が、また、夏より秋の方がナキウサギを目にする確率が高いかもしれない。

姿ナキウサギで残念ではあったが、秋の東雲湖は素晴らしかったのだった。